有価証券報告書 開示に関連する基準、法律根拠まとめ

みなさんこんにちは!
ゆうきちです。

今回は上場企業の決算情報である有価証券報告書についてまとめます。

この有価証券報告書は、企業の経理部の方にとっても会計士にとっても世の中に出る最終の成果物であるといえます。

その有価証券報告書はどんな基準や法律のもとに開示されているのか。

ここを抑えておくことは、経理にとっても監査する会計士にとっても重要なことです。

それでは見ていきましょう!

この記事を書いた人

  • 理系会社員から公認会計士へ
  • 令和4年公認会計士試験合格
  • 大手監査法人で監査に従事
  • 勉強法に関する書籍を執筆

有価証券報告書とは

まず有価証券報告書とは、株式を発行する上場企業などが開示する企業情報のことをいいます。

これは金融商品取引法で開示が強制されている情報になります。

また、提出義務だけでなく監査法人や公認会計士による監査も義務付けられています。

有価証券報告書には、さまざまな情報が記載されています。

これらは財務会計基準機構によって記載例が示されています。

今回はたくさんの情報の中でも財務諸表に焦点を当てて説明していきます。

財務諸表は何を根拠に作成されているのでしょうか。

例えば、何か物を売った時には売上の仕訳が切られます。

仕訳を切るためには、いくらで、いつ切るのかなどの基準である「処理基準」と切った仕訳をどのような形で情報として開示するかを定める基準である「表示基準」が必要になります。

ここからは「表示基準」と「処理基準」について詳しく見ていきます。

表示基準

表示基準としては、「財務諸表等規則」「連結財務諸表等規則」が挙げられます。

これらは「内閣府令」と呼ばれるものです。

内閣府令とは、設定の主体が内閣総理大臣で法律を実施するために定めている具体的な手続き規則です。

なので法的な拘束力があります。

「財務諸表等規則」の具体例を挙げると、例えば14条では以下のように定められています。

(資産の分類)
第十四条
資産は、流動資産、固定資産及び繰延資産に分類し、更に、固定資産に属する資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に分類して記載しなければならない。

切った仕訳は上記のような規則に則ってBSとして表示することになります。

簿記や会計士の受験で勉強したような内容はここからきているんですね。

処理基準

処理基準は上記の表示基準(「財務諸表等規則」「連結財務諸表等規則」)に定めがあります。

財務諸表等規則 第一条
この規則において定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。

一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とは、日本公認会計協会から例示として以下の4つが示されています。

・企業会計審議会又は企業会計基準委員会から公表された会計基準
・企業会計基準委員会から公表された企業会計適用指針及び実務対応報告
・日本公認会計士協会から公表された会計制度委員回答の実務指針及びQ &A
・一般に認められる会計実務慣行

何が違うのか少し説明を加えます。

企業会計基準とは、会計処理および開示の基本となるルールを定める物です。

企業会計基準適用指針とは、基準の解釈や基準を実務に適用する際の指針を定める物です。
基準を実務に落とす際に書ききれなかった分がこの適用指針に記載されます。

実務対応報告とは、基準がない分野についての当面の取扱いや、緊急性のある分野についての実務上の取扱い等を定める物です。

簿記、会計士試験では、これらの処理基準を学んでいるんですね。

今回の記事は以上になります。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。