会計専門職大学院(アカスク)。必修,選択授業の内容や評価方法。予備校との両立についてまとめてみた。

 みなさんこんにちは!
ゆうきちです。

ここでは会計専門職大学院の授業内容に関する内容をより詳細にまとめていきます。

「具体的にどんな科目があるの?」
「成績はどのように評価されるの?」

「予備校と両立はできるの?」

この記事を読むことで上記のような疑問を解決することができます。


会計専門職大学院の授業ついてざっくり説明すると

  • 8つの必修科目とその他の選択科目に分類できる。
  • 必修科目の内容は、会計士試験とほぼ同じ
  • 必修科目は2/3の出席必須、定期テストで評価される。
  • 選択科目の内容は、会計士試験外の科目、実務的なものなど。
  • 選択科目はレポート、小テストと評価の内容は様々。
  • 大学院の授業だけで会計士試験に合格は困難
  • 予備校との両立は可能

私は2020年の4月に関西大学の会計専門職大学院に入学し、2022年の3月に卒業しました。
私の経験がみなさんの参考になれば幸いです。

なお、本記事は関西大学の会計専門職大学院の名称をベースに作成しています。
各大学で区分の名称など若干の違いがあると思いますので、その点あらかじめご了承下さい。

*この記事は3分ほどで読み終わります。3分後には会計専門職大学院の授業内容についてイメージができるようになっていると思います。

この記事を書いた人

  • 理系会社員から公認会計士へ
  • 令和4年公認会計士試験合格
  • 令和4年会計専門職大学院成績優秀者卒業
  • 大手監査法人で監査経験あり
  • 勉強法、大学院に関する書籍を執筆

実際に取得した履修科目一覧

私は会計大学院を卒業するために、50単位を取得しました。

以下の写真が履修した科目の一覧です↓

具体的に履修した授業を必修科目、選択科目に分類してみていきます。

必修科目の内容

履修した必修科目は、「上級簿記論」「上級財務会計論」「上級原価計算論」「上級管理会計論」「監査制度論」「監査基準論」「企業法」「会計専門職業倫理」の8授業です。

この必修科目は卒業要件に含まれているため、卒業まで全て必ず履修する必要があります。

授業、テストの内容はほとんど会計士試験の勉強とそこまで相違はありません。そのため予備校で分からなかった所を授業を通して理解できたりします。

また、予備校で学んでいる方であればそこまでの負担にはならないと思います。

「監査制度」に関しては会計士試験でそこまで深く勉強しないため、「監査制度論」の授業だけ予備校の授業とは別途対策をする必要がありました。

必修科目の評価の特徴をまとめると以下のような感じです。

出席要件が定められている

②ほとんどの授業は定期テストで評価される

 
①出席要件が定められている

それぞれ15回の授業回数のうち10回以上の2/3は出席しないといけません

この出席回数が満たせない場合は、定期テストの結果に関係なく不合格となってしまいます。

②ほとんどの授業は定期テストで評価される

8つの必修授業のうち「上級簿記論」「上級財務会計論」「上級原価計算論」「上級管理会計論」「監査制度論」「監査基準論」「企業法」7つは中間テスト、期末テスト等の定期テストで評価されました。

中には小テストがある授業もあります。
しかし評価の比率は低く、ほとんど1回ないしは2回の定期テストで成績が決まります。

前述の通り、授業の内容は「監査制度論」以外は会計士試験の勉強とそこまで相違はありません。
そのため予備校で学んでいる方であれば、定期テストもそこまでの負担にはならないと思います。

また、8つのうち「会計専門職業倫理」のみ定期テストがなく、レポートと発表で評価されました。
内容は過去の不正事例の具体的な手口を学んだり、その不正に対して自ら立案した不正対策をレポートにまとめたりします。
会計士試験では勉強しない内容なので多少時間はかかりますが、将来監査人になる方にとっては学んでおいて損のない内容かと思います。

選択科目の内容

選択科目は、17授業の単位を取得しました。

選択授業は個人の好みに合わせて自由に選ぶことができます。
授業の内容や評価の方法も様々です。

私の取得した授業の中からいくつか紹介します。

実際に取得した授業の紹介

一つ目に「国際監査事例研究」という科目です。
この授業の講師はBIG4で働いている現役の公認会計士(マネージャー)でした。
その講師が架空会社の財務諸表などを元に会計不正がどのように行われるか、会計士としての目線をレクチャーしてくれます。
公認会計士試験勉強中の身としては、学んでいる知識が現場でどのように使えるか学ぶことができ、モチベーションが上がりました。
また監査のイメージを少し掴むことができました
ちなみに出席回数と授業中の積極性のみで成績は評価されました。

二つ目に「会計事例研究」という科目です。
この授業の講師はBIG4で働いている現役の公認会計士(パートナー)でした。
授業の内容は、まず会計の論点(”減損”や”退職給付”など)の会計基準や法令を元に実務上注意すべき点を講師から授業形式で学びます。
授業後にEDNET等を利用して実際の会社が提供している情報を分析してレポートにまとめます。
そのまとめたレポートを講師、他の生徒の前で発表し、講師のアドバイスを受けます。
この授業の良かった点は、監査法人のトップであるパートナーの会計基準に対する目線を知ることができた点、
自分の分析をパートナーの方に直接評価して貰えた点にありました。
評価はその発表内容で行われました。

三つ目に「実践監査プログラム演習」という科目です。
この授業の講師は監査ツールを作成しているIT会社の社員の方でした。
まずその講師の方から監査ツールの使い方を詳しく学びます。
その学んだ知識を元に一連の監査手続きをシュミレーションするというものです。
学んだ監査ツールも実際実務で使われているものでしたし、作成会社の方から直接使い方を学ぶという機会も大変貴重なものでした。
評価は、出席と授業時における発言などの積極性で行われました。

四つ目に「アカデミック・ソリューション」という科目です。
これはいわゆる”ゼミ”です。会計専門職大学院にもゼミはあります。
ただ一般的なゼミではおそらく最終の目標が論文の作成にあると思うのですが、会計大学院では論文作成はありません
内容としては教授からその専門分野について授業を受けたり、教授や他のゼミ生と議論したりします。
私のゼミでは生徒数も10名以下でしたし、会計の専門家である教授から近い距離でレクチャーを受けられる学びの多い授業でした。
また同じ会計士を目指す友人ができたのも良かった点として挙げられると思います。
評価は、出席と授業時における発言などの積極性で行われました。

選択科目その他

他にも選択科目には、「組織再編」「租税法」など会計士試験に近い内容から、「IFRS」「国際税務」「コンサルティング実務」「企業へのインターンシップ」など会計士試験の勉強だけでは学ぶことができない科目まで幅広い科目がありました。

会計の専門家として必要な幅広い科目を学べるのも専門職大学院の魅力の一つだと思います。

予備校との両立はできるのか

ここからは予備校(会計士試験)と両立できるのかという観点で授業を見ていきます。

まず前提として、大学院の授業だけでは公認会計士試験に合格することは難しいと思います。
なぜなら会計専門職大学院は「実務家を養成する」ためにカリキュラムが組まれており、「試験対策をする」ためではないからです。
そのため公認会計士を目指す方は予備校に通う必要があります。

実際、私もCPA会計学院の梅田校に通っていました。

ただ授業の内容から試験に対応している授業とそうではない授業に分けることもできます。

上の履修した授業の内容でも述べましたが、必修科目は、そのほとんどが会計士試験に内容が近いです。予備校で学んでいる方であれば、そこまでの負担にはなりません。

一方、選択科目会計士試験と関係のあるものから全く試験とは関係のないものまで幅が広いです。
この選択科目に何を履修するかによって会計士試験にどれほど注力できるかが変わってきます。

私は将来公認会計士として監査法人に入りたいという気持ちがありました。
そのため実務に役立ちそうな選択科目をいくつか選択し、残りは会計士試験に関係があるものや先輩の情報から負担の軽いものを中心に選びました。

単位数もそこまで多くない(1日1コマペース)ため、そのような履修計画を立てれば会計士試験のために自習時間を確保することは十分可能でした。
実際、入学時の簿記2級程度の知識から在学中の2年間に簿記の1級や短答式試験に合格することはできました。

まとめ

ここまでの話をまとめると、

・会計専門職大学院の授業は会計士試験と近い内容のものから、実務的な内容のものまで幅広い。
課題の量も授業によって様々であるため履修計画に注意が必要。
・履修計画を上手く立てることで会計士試験との両立は可能。

この記事はここまでにさせていただきます。

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